親族へ支払う家賃等の取り扱いについて
個人事業では多いケースだと思いますが親族に家賃などを支払った場合の必要経費の取扱いについて確認したいと思います。
結論的に、同じ親族に払う家賃でも「生計を一にしているか、していないか」で取扱いは大きく異なります。
<生計を一にしている場合>
①事業主の取扱い…その親族に支払う家賃は事業所得の必要経費とはできない。ただし、親族が支払いを受けた家賃を得るために要する必要経費とされる金額がある場合には、その金額は事業主の必要経費に算入できる。ここでポイントなのは、親族が支払った固定資産税や保険料、水道光熱費など、事業主が負担していなくても経費計上できることです。
また、もし事業主が無償で親族の資産を使用している場合でも同様の取扱いとなるので、無償で借りていても、親族が支払った費用は経費計上できるということです!
②親族における取扱い…家賃の支払いを受けていたとしても、受けていなかったものとして取り扱われるので、不動産所得の申告は不要となります。
要は事業主から親族への単なる資金移動ということになるので、親族のプラス(不動産所得)も事業主のマイナス(事業経費)もカウントしないという考え方ですね。
<生計を一にしていない場合>
①事業主の取扱い…その親族に支払う家賃は事業所得の必要経費とされる。
②親族における取扱い…家賃を受け取った親族は、不動産所得の収入金額に計上する必要がある。
要は、親族に対する支払いであっても生計を一にしていない = 他人と同様の取扱いとなる…というイメージで良いと思います。
ここでは生計を一にするという言葉がキーワードになってきますので、国税庁より引用を…
Q 「生計を一にする」というためには同居が要件とされていますか。 [平成23年6月30日現在法令等]
A 「生計を一にする」とは、必ずしも同居を要件とするものではありません。例えば、勤務、修学、療養費等の都合上別居している場合であっても、余暇には起居を共にすることを常例としている場合や、常に生活費、学資金、療養費等の送金が行われている場合には、「生計を一にする」ものとして取り扱われます。
なお、親族が同一の家屋に起居している場合には、明らかに互いに独立した生活を営んでいると認められる場合を除き、「生計を一にする」ものとして取り扱われます。
注意点をまとめます
経費計上というと自分で支払った部分のみが対象となる感じがしてしまいますが、生計を一にしている親族に借りて事業を行っている場合は、思いもよらぬところで経費計上できる部分もありますので、注意して漏れのないようにして下さいね(*^^*)